day4:幕間

～弓道部の部活動～

ここは陽南中学運動場の端っこ。弓道部の活動場所である。
「おーい、前島。河崎と山本はどうした？」
部長に声をかけられ前島が振り返る。
「河崎は生徒会です。生徒会長に拉致られたって山本が言ってました。」
前島の答えを聞いて部長は苦笑する。
「ああ、今年も生徒会やってるのか、河崎は・・・・・坂本さん張り切ってるもんなぁ～。」
どこか遠い目でそんなことをいう部長は、たしか今年のクラス替えで坂本会長と同じクラスになったと嘆いていた。
「はは・・・・部長も大変ですね。文化祭どうなるのやら・・・。」
「前島。それは言うな。考えたくないんだ。・・・・で、山本は？」
「おもしろそうだから、フィレーンを連れて行くって言ってました。」
「ああ、例の転校生か。気が合うかもしれんな、坂本さんと。」
「そうですね・・・・」
柔らかな風が二人の間を縫うように吹いた。
「で、門田は数学の補習か・・・・・」
「そうですね。」
「・・・・・・」
部長が前島の両肩をつかみ、目をまっすぐ見つめた。
「友達は選んだ方がいいぞ。」
「山本に関してはそう思わなくもないですけど、河崎と門田はいい奴ですよ。」
「たしかに、河崎に関しては河崎に責任があるわけではないが・・・・あいつは不幸に巻き込まれそうなオーラを出してるからな、一緒にいると、そのうちお前も巻き込まれるぞ。」
「そんな言い方しないで下さい！！」
前島は部長の手を払い叫んでいた。
「あいつは・・・確かに苦労性で人に思いっきり振り回されるし、いかにも厄介ごとに巻き込まれそうですけど・・・・けど」
前島は両の拳を硬く握り締め、部長の顔を見た。
「いじりがいがあるんです・・・・。楽しいんです、あいつをいじめるの。」
部長がふっと微笑んだ。
「お前も・・・・山本と同類だったんだな。」
そしてくるりと前島に背を向け歩き出す。
去り際に部長は背を向けたまま前島にこういった。
「友達を選べって言葉・・・・・今度、河崎に言っておくよ。どうやら、あいつに言った方がいいらしいからな。」
「ええ、そうですね。そうしてください。」
部長の影が夕焼けに映えていた。これぞ男の哀愁。
前島はそんなことを思いながら部長の背を見送った。

ここは、やる気ない感じの陽南中学弓道部。
彼らの放課後はこうして過ぎていく。

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